青と藍、そして愛

「青は藍より出でて藍より青し」
このことわざをご存じであろうか。
青色の染料は草の藍からとるが、それはもとの藍草よりも鮮やかな青色である。
その関係を弟子と師匠にあてはめて、弟子が師匠の学識や技術を越える、という意味で使用される。

そう、いつか来るであろう日が来たのである。
***

まずは初日の出を釣り場で迎えた師匠・中田さんの雄姿をご覧いただこう。

1

去年までの私なら、この雄姿に惚れ惚れし、「非常にカッコいい男である」などという言葉が出ていたに違いない。
しかし、私の技術も成長しているのである。
太刀魚の5本や6本釣れた話程度では驚かない。

それよりも、師匠はずっと今までルアー(疑似餌)を使い、どんなに周りが生き餌(キビナゴやドジョウを使う)で釣れていても、ストイックにルアーで通しておられ、それで釣果を出されていた。
そんな師匠を尊敬していたのだが、この写真はどうやら、ドジョウを使用した引き釣りという釣り方で釣ったらしい。
これはどうだろうか。
あれだけルアーにこだわっておられたのに、ルアーで釣れないからと、餌に手を出されるとはいささかガッカリしてしまったのは事実である。

私は誓った。師匠がルアーで諦めておられるなら、私が挑戦しようと。

時は1月3日、5時。
私は師匠と共に釣り場に立っていた。

2

私の手元には、当然のようにドジョウがあった。

先人は言った。「郷に入っては郷に従え」と。
やはり釣れている釣り方で釣るのがいいのだ。

しかし、師匠とてドジョウを使いだしたのはつい先日。
スタートラインはほぼ私と同じと言っても過言ではないのである。
本日の目標は師匠に並ぶ数、いや、欲を言えば一度でいいから師匠に勝ってみたい。
そんな邪心を隠しつつ、釣りのスタートである。

朝6時。

私にまずヒットがある。

3
記念すべき今年の初物とのツーショットである。
サイズもそこそこ大きい。

喜びを抑えつつ続けると、またヒット。
信じられない気持ちでいたが、またまたヒット。
まるで私の竿に太刀魚が引き付けられるかの如く、釣れるのである。

師匠を見るとまだ1本も釣れていない。
これはもしかしたらもしかするかもしれない、と思い出したのはこの時からであろう。

空が明るくなりかけた頃、ようやく師匠にも1本が出た。
それもかなりのサイズである。
計測するとメーターオーバーの102センチ。
さすが師匠。非常に、、、いや、この言葉はまだ封印しよう。

この時間帯になると、周りでもポツポツ上がりだす。
私も師匠も順調に数を伸ばしていた。

逆隣で釣っていた家族釣れが、私達の釣れっぷりをみてとても驚き、色々と話を聞きにきた。
お父さんは1匹しか釣れておらず、小学生と中学生くらいの女の子の姉妹が私も釣りたい~と言って騒いでいた。
さすがにこの釣りは女の子には難しいので私は苦笑いをしていた。

その時である。
なんと師匠が、「この竿貸したるわ」と自分の予備の竿を差し出されたのである。

太刀魚は歯が鋭い魚なので、いつ糸を切られるかわからない。
そのため、予備のセットを用意しておられたのだが、それをなんとも爽やかな笑顔で「いいよ、やってみ」と貸しておられた。

釣り人にとっての釣り竿は指揮者にとっての指揮棒である。
例えるならコンクールの本番直前に前の団体の指揮者に指揮棒を貸すような度胸であろう。

さらに投げ方、誘い方などを伝授しておられる。
そして驚くべきことに、数分後、その女の子にヒットが。
見事、釣らせてあげることができたのである。

その家族に何度もお礼を言われ、気恥ずかしそうにする師匠。
さらに自分の釣られた太刀魚をこれあげるわ、と3本贈呈されていた。

全てが輝いて見えるのは朝日のせいだろうか?
いや、私の目から零れる一筋の光のせいだろう。

やがて釣り終了の時間となった。

4

ゴミ拾いでも薪拾いでもない。釣った魚を拾い集めているのである。

結果、私は7匹、師匠は6匹であった。

なんと師匠を数で上回ることができたのである。
しかしなんであろうか、この敗北感。

試合には勝ったが勝負には完敗である。
いや、ハナから私は相手にされていないどころか、同じ土俵にすら立てていなかったのかもしれない。

改めて言わせていただこう。

さすが師匠。
今年も相当にカッコいい男である。

※ 納会で桃山ウィンドの皆さまに振る舞った太刀魚の炙り、あれの作り方を元くんに教えたのに、最後に「皮だけ炙る」事を言い忘れて両面炙られた写真が送られてきました・・それって炙りというか・・ただの焼き魚です(笑)・・やはりまだまだ彼は甘ちゃんのカワイイ弟子なのです。

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