マフラーは持って来ていないのである

やぁ私だ。

これは先日いつものごとく楽団の練習に行った時のはなしである。

その日は外が寒かったこともあり厚着をしていた。

ダウンを来て、手袋をつけ、マフラーを巻いて完璧だ。

手袋とマフラーは防寒には必須だ。
  
  
  
タイトルでお気づきであろう、この男

「マフラーは持って来ていないのである」
  
  
「今年の課題曲はなかなかいいですね」

そういいながら私は指揮者と集合場所で談笑している。

集合が終わり、パート練習に向かう。

楽器を組み立てた後、音だしを済ませ体が慣れてきたところで、少し休憩だ。
 
 
「やはり外は寒い」
  
  
ダウンに袖を通し、ポケットからマフラーと手袋を取り出して着ける。

肌が露出する部分を極力減らすにはやはり、マフラーは欠かせない。

巻いているのといないのとでは戻ってきたときの体温が段違いなのである。
  
  
だがしかし、この男

「マフラーは持って来ていないのである」
  
  
休憩を終え、曲の練習に挑む。

やはり体が冷えていない。

「首もとを暖めるだけで、こうも違うか」

そんな事を思いながら、そのまま練習を開始する。
  
  
「ほんとあの指揮者は難解な曲を何曲もさせやがるぜ」

そう、口から漏れ出てしまうほど、簡単な曲は少ない。
  
  
  
気がつけば合奏の時間である。
  
  
「時間とは残酷なものだな」

そう呟きながら移動する。

合奏は初見の曲、演奏会メインの曲などを行った。

難解な曲でもそろそろ形になり始めている。
  
  
瞬く間に練習時間は終わりを告げ、皆部屋を片付け、帰り始めている。

私も帰ろうと駅へ向かっていたとき、ふと忘れ物に気づいた。

「マフラーがない」
  
  
慌てて戻ると、まだ指揮者と打楽器の一人が会話していた。

事情を話し、まだ持っていた鍵を受け取り私がいた場所を見て回る。
  
  
「どこにもない」
  
  
確かに巻いていたハズである。

なにせ首は暖かいのだから。
   
  
  
ここでおさらいしておこう、この男

「マフラーは持って来ていないのである」
  
  
二人にも手伝ってもらい再び各場所を探す。
  
   
「やはりない」
  
二人からは

「カバンにあったら笑いますよ」

「楽器ケースに入れたんちゃうん」

「ポケットに入っていたら、メガネ~メガネ~と探しているやつと一緒ですよ」
  
  
……そんな事を言われても見当たらないのである。

機能的なマフラーなのでどうしても持って帰りたい。
  
  
諦めかけていたが、念のために家に電話をかけてみる。
  
  
  
「家に置いていってるよ」
  
  
   
やはり、この男

「マフラーは持って来ていないのである」
  
  
半分怒り、半分哀れみの目線を寄越す二人にひたすら平謝りし、帰路についた。
   
   
   
電車のなかでふと思った。

いや待て。確かに首は暖かい。
   
  
もちろんだ。

その日はタートルネックを着ている。

首は暖かいに決まっているのだ。

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